酒田市城輪柵跡  
   
 
 この二人の蝦夷は、貢ものでも、見せものでもなかった。唐天子に、白鹿の皮や弓や箭(ヤ)を献上しているところから見ても、立派に人格を認められた存在であった。彼らは和人の使者たちに、見せもの的に利用されたようだが、しかし 誇りをもって唐天子に対面した蝦夷の代表でもあった。そしてこの二人は、アイヌであったと推定して先ず間違いはない。当時身面の異なる人種が、他にはいなかったと見られるからである。